週末の錦州旅行#2:錦州筆架山を探る|天地の間で満ち引きする潮汐の奇観

週末の錦州旅行#2:錦州筆架山を探る|天地の間で満ち引きする潮汐の奇観

地質学的奇跡:筆架山の世界的地位

遼東湾の北岸、錦州から南へ約35キロ。海上に静かにそびえるのが、まるで筆置きのような姿をした小島「筆架山(ビジャシャン)」です。

この筆架山と本土をつなぐのは、自然が作り出した“天橋”と呼ばれる不思議な砂利の道。満潮と干潮に合わせて姿を現したり消えたりするこの潮汐通路は、地質学的にも非常に珍しく、世界的にも貴重な存在とされています。

徒歩で渡れるほどの規模を持ち、干潮時だけ現れる自然の橋。まるで大地と海の呼吸が生んだ「自然のパズル」のような風景です。

山海の絵巻:三峰が筆置きのような自然の叙事詩

筆架山は3つの峰からなり、中央の峰が最も高く、両側がやや低く構成されています。その姿が筆を立てる“筆置き”に見えることから名付けられました。

山中には奇岩、緑の木々、そして道教の古建築群(三清閣など)が点在し、赤い壁と青い海が美しいコントラストを描きます。

頂上からは渤海湾を一望でき、海に浮かぶ漁船、リボンのような海岸線、朝焼けや夕焼けの風景が、まるで1枚の山水画のように心を打ちます。

潮汐の暗号:天橋の出現と消滅の謎

筆架山最大の見どころである「天橋」は、全長1620メートル。干潮時にはまるで海を分けてできた道のように姿を現し、観光客は徒歩で島へ渡ることができます。

一方、満潮時には海水が徐々に橋を覆い隠し、筆架山は“孤島”へと変貌。この変化のタイミングは日々異なるため、訪れる際は事前に潮汐表を確認しておくのがポイントです。

天橋の上に立ち、左右からゆっくりと引き寄せられる海水の動きに身を委ねていると、大自然のリズムを五感で感じ取ることができます。

水陸を行く:40 分と 2 分の時空の衝突

初めて筆架山を見た時、遠くから見ると島が海岸からそれほど遠くないように感じ、すぐに歩いて行けるだろうと思った。しかし、実際に天橋に足を踏み入れてみると、この見た目には近い距離が、歩くのにかなりの根気と体力が必要だと気づいた。足元の砂利は時には柔らかく、時には硬く、一歩一歩しっかりと踏まなければならない。それに加えて海風の吹き付けや海の景色の魅力で、いつの間にか足取りが遅くなってしまう。約 40 分かけてようやく筆架山の麓に着いた。少し疲れたが、途中で見た海の景色や徒歩の楽しさで、すべてが価値あるものになった。

帰りは快艇に乗ることにした。快艇に座るや否や、運転手がスロットルを開けると、快艇は矢を放つように海面上を疾走した。海風が耳元を吹き抜け、海水が層層の波を巻き起こし、艇体に打ち付けて、きらきらと光る水滴が跳ね上がる。目の前の景色がスピード感を伴って後方に流れ、筆架山はますます遠くなり、海岸はますます近くなった。わずか 2 分の間に海岸に着いた。この 40 分から 2 分への時空の急速変換は、刺激的な感覚をもたらし、筆架山の潮汐の奇観に対して更に深い認識を得ることができた。

筆架山(ビジャシャン)の海は本当に澄んでいますね!

セルフィー映え!髪飾りフォトスポット

錦州の筆架山は独特な地形を持っています。満潮と干潮によって出現と消滅を繰り返す「天橋」が陸地と島を結び、まさに天下一品の自然奇観で、他のどこにもない景色です。

山にある道教建築、例えば三清閣などは、全て石で構築され、古めかしく精巧で、深い文化的底蘊を持っています。このように特別な筆架山、ぜひ皆さんが足を運んで、その魅力を実感してみてください。​

次回予告:錦州のグルメ&映えスポットへ

次回の《週末の錦州旅行》は、地元の人にも大人気の「錦州焼き串(烧烤)」の魅力に迫ります!

さらに、チベット風建築と海の絶景が融合した話題のSNSスポット「凌海の小ブラダ宮」もご紹介。ぜひ、お楽しみに!

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